2023
19
Jun

生活雑感

オタクミーツギャル①

今年になってMamegohan Digital Publishingのサイトで、無料で読めるKindle漫画の紹介をしている。レビュー記事は隔日になるのだが、基本的にウィークデイには毎日更新している。

紹介する漫画はAmazonのオススメ作品をチョイスしているのだが、さすがに食傷気味で最近はパスしているジャンルがある。「女子高生」モノと「ギャルとオタク」モノだ。前者は女の子は可愛いのだが、だいたい露出過多で中身がない。パンチラ見せてりゃ良いだろ?的なもの。後者は判で押したような気弱なオタクのボーイミーツガール漫画。

どれも気弱なオタクが、住む世界が違うと思っていたギャルと仲良くなっていく話。ギャルは意外とオタク文化に理解があったりそもそも隠れオタクだったりで、なぜかオタクくんに興味と好意を持っている。そして自分に自信のないオタクは戸惑いながらも、二人は徐々に距離を縮めていく……。

どれもこれも、少なくともぼくが確認した限り「おい、どっかにテンプレートでも公開されてんのか?」って思うような、同じ内容。もちろんその中には「その着せ替え人形は恋をする」のような素晴らしい作品も存在する。存在するが、ストーリーで読ませるような作品はほんの一握りもない。

ギャルとオタクの物語がこれほど溢れる理由はなんだろうか?

まずコアとなる読者が、主人公と同じオタクである可能性が挙げられる。アングラ漫画を好んで読む層はオタクなのではないか?という発想だ。

主人公と同世代の中高生か、もしくは中学高校時代などとっくに忘却の彼方に置いてきたオッサンオタク。エビデンスはどこにもないが、メインの層は後者ではないかと勝手に思っている。作品を支持するファクターの一つに、感情移入があるだろう。実際の中高生でスクールカーストの底辺にいる者にとって、日々目にするギャルが実はオタクに優しかったなんて妄想ストーリー、共感できる箇所があるだろうか?

これに対して基本的に過去は全てなかったものか美化して生きるオッサンオタクの場合、自分にもこういうIFストーリー的な青春があったかも?と、冴えない想い出を塗り替える媒介として「オタクミーツギャル」作品は作用する気がする。

「オタクミーツギャル」モノは、同じように界隈に溢れかえっている「異世界転生」モノと根本は同じだ。実社会では何の役にも立たない冴えないオタクが、異世界ではなぜか無双する。何の努力もなく、ありのままの自分を異世界は受け入れ、その上自らが世界の頂点に立つ構図。

自分では何も行動せず、ただギャルが勝手にオタク趣味に興味を持ち、ついでに自分にも好意を抱く。その図式とまったく同じではないか。

もしも予想通り「オタクミーツギャル」の読者が消費するだけのオッサンオタクだけだった場合、このジャンルは間違いなく衰退する。中身のないテンプレ通りの物語が溢れれば、さすがのオッサンオタクだって食傷気味になる筈だ。オッサンオタクは冴えなかった中高時代を塗り替える媒介を他のジャンルに求めて移動し、後には雑草しか残らない。

だが読者がこのジャンルを読むことで何かに気づいたオッサンオタクであったり、主人公と自身を比較して行動を起こした同世代オタクだった場合はどうだろう?その猛者の中からギャルとオタクの新しい作品を生み出す流れが生まれる可能性はゼロではない(続く)




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