2022
2
Nov

生活雑感

レイプ犯になりかけた夏

遠い昔、大学生の頃につるんでいた村上くんの部屋にはエアコンがなかった。当時としてもエアコンないとか赤貧丸出し、丸出し赤貧ではあったけれど、ぼくの周囲に限ってはエアコンなしの部屋に住む学生は特に珍しくもなかった。

あの夏の日もいつものように村上くんのとこで、缶ビールやら酎ハイを持ち寄って芸術談義をしていた。夢だけで食っていけた、そんな時代。いつか一廉のアーティストになると、全員が信じて疑わない、無知蒙昧だけど眩しい日々だった。

その日は誰かが日本橋の路上で非常に胸クソ悪い、ガチめのレイプ物AVを買ってきていたので、見るともなしに流しながらアンディーウォーホルの話をしていたように思う。

AVは女の子が本気で抵抗して絶叫するようなシロモノで、もちろんパッケージもないようなアングラ系。これマジモンじゃねぇの?って思った記憶がある。

エアコンのない真夏なので、もちろん窓は全開。近所迷惑も顧みず(まだ7時か8時頃だったし)、大きめの音でAVを流しながら、ぼくらはぼくらでバカみたいに笑っていた。

突然、玄関が乱暴に叩かれた。何やねん!?と鍵を開けた瞬間、警察官が乗り込んできた。開け放した窓からも何人かの警官が入ってきた。何が起きたのかまったく把握できない状況下で、いきなり部屋の中にポリスメンが登場したような感じだった。

ご近所さんから大学生が女の子を暴行してるという通報があったらしい。いやいや、窓開けて強姦する奴おらんやろ?って思ったけど、あきれ顔のお巡りさんに近所迷惑を考えろ!とマジ説教を食らった。窓から乗り込んできた警官が村上くんのガンプラを壊したけど、それについての謝罪は一切なかった。

今朝、あの夏の日の夢を見た。懐かしかった。村上くんはその後大阪府警に就職した。


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