ヌード撮影でもセンシティブな撮影（言葉を選んだよ！）でも、誰かに見せるというか、発表を前提にして撮る場合は、モザイクの類いは不要なアングルで撮ります。まぁ普通のヌードでモザイクがいるってどんな撮影だよって感じですけど（笑）

ただセンシティブな撮影の場合は、意識的無意識的に、見せられない写真を撮ってしまうのも事実です。

そういう場合、基本的にボツというか、個人で楽しむだけですけど、販売を目的にして撮った写真は、あとで修正が必至です。ここでの修正とは、見えちゃダメなモノを隠す作業なんですけど。

今でこそ何かを隠すのはモザイク処理がまず思い浮かぶと思うんですが、こいつがメジャーになってきたのは、平成になってからみたいです。たぶんフォトショップの普及による気がします。昭和の終わり頃までは、墨というのか黒塗りで隠していたらしいです。

DTPなんて概念もなかった頃なので、写真そのものに直接油性ペンなんかで線を引いていたんでしょうか？

気になって検索したら、バターを塗ると黒塗りが取れるという都市伝説があったそうです。取れないよ、元の写真に塗ってるんだから（笑）そういやAVのモザイクを消すという眉唾物の機械も売られてましたね。エロ本にそんな広告がありました。

エロに対する男子のプリミティブなパワーって、遙か以前から食い物にされてきたんですなぁ。今も昔もエロはカネになりますもんね。そして欺されても基本泣き寝入りというか、笑って済ませられる不思議なジャンル。そんなカテゴリ他にないですよ。

閑話休題。

今現在、見えちゃダメなモノを隠す手段としては、モザイク・ぼかし（ガウス）・グラデーションなどが挙げられます。モザイクは即物的な感じで、身も蓋もないエロ画像向きです。ぼかしも似たようなもので、この二つは見る者、作る者の好みの差しかない気がします。

これに対してグラデーションツールを使った隠し方は、ちょっと小癪なイメージです。エロを少しでもアートより見せようとする魂胆が透けて見えて、場合によっては見ていて不快感を覚えます。何イキってんだよ？みたいに。要はセンスと使い方なんですけどね（あくまで個人の感想です）

モザイクは下世話というか、曰く言いがたい、場末の風俗店感があるんですよね。これまた個人の感想ですけど（笑）ぼかしもそれに近い気がします。酔った勢いで入店して、出てきた嬢に「嬢？嬢なの!?嬢の母じゃないの!?」と心の中で拳を握りしめてシャウトするような、薄暗く鬱屈して妙に滑稽なイメージです。

今となっては懐かしい話ですが、BOOTHでセンシティブな写真集を販売できてた頃って、依頼主というかモデルさんの希望を聞いて修正処理をしてたんですよ。モザイクとぼかし、どっちが良いですか－？って。答えはだいたいどっちでもいいよーってモノでしたが、感覚的にはモザイクが多かったような気がします。

商用で撮った写真の処理はモザイクorぼかしの二択でしたが、自分のブログやインスタなどで発表する時は、グラデーションツールを使っていました。先に書いた通りモザイクでは滲み出る下世話さが、グラデーションだと若干マイルドになるんですよ。検索したら大昔のエロゲーやAVで、既にグラデーションに似た処理はされていたらしいので、むしろこちらに下品さを感じる方もいる気がするんですけど。

長々と書いてきて何が言いたいかと言うと、くぱぁ画像みたいなのは、グラデーションツールで隠すのが好きでした！ってことです。

うん、過去形？

そうなんです、過去形になったんです！（何の告白よ!?）

モザイクに何かしらの可能性を急に感じたんですよ。今さら！今さら敢えてのモザイク推し！

理由なんて分かりません。あくまで感覚の世界なんで。しかし説明しなければここまでのテキストが無駄になってしまうので、むりくりにでも言語化してみるとすれば、モザイクの魅力とは、それが本来持っている画像を隠す「不自由さの強要」という作用を否定して、むしろその向こうに隠されている「何か」を無限に想像できる「自由を獲得」することだと思うんですよ。

つまりモザイクは「そこにあるもの」を隠す反面、逆に「そこにないもの」を自由に想像させるのです。想像力は創造力。変態的スキルが高ければ高いほど、あらゆるイマジネーションの世界を手にできます。

男性にしか理解されないかもですが、少年時代初めてモザイクなしの動画を見た瞬間、思ってたのと違う！って感じた経験ないですか？想像通りの美しいモノを見られたら幸福ですけど、こんな可愛いのに、どうして……？って悲しくなった純情メモリー。忘れたり慣れたりしてるだけで、心のどこかにあの時の衝撃をしまい込んでいませんか!?

そんな慟哭の記憶さえも、モザイクは塗りつぶしてくれるのです！大袈裟な表現じゃないから、ジャロに連絡しなくてもオッケーです。

目の前の画像を、自由に、無限に、好きな情報と置き換えられる装置としてのモザイク。その可能性を具現化させるのは、作り手の想いや発想でしょう。

単に性器にモザイクをかけるといった使い方ではなく、それ以外の何かを隠すことによって、情報を置き換えるのです。エロ界隈ではできるだけ小さいモザイクが喜ばれますが、イマジネーションを刺激させるなら、大きめの方が効果的に思えます。

少し話は脱線しますが、今の世の中、スマートフォンを使えば、未成年でも安易に無修正のエロ動画を見ることができますよね。ペアレンタルコントロール？ンなもん役に立つか！みたいな（笑）

これ、真面目に問題だと思うんですよ。

誤解してほしくないのは、未成年がエロ画像を見ることが問題という意味ではありません。見たいんだもの。というか一番見たい季節だろ!?見るのはいい（良くはないけど！）それを指弾するのは、あくまで建前です。

問題にしたいのは、安易に手に入るという、手段に対してなんですよ。

エロ動画をオカズにする行為は、微塵も想像力を使いません。ストリーミング世代の前は、AVでした。未成年でレンタルAVを手にするのは至難の業だったので、このジェネレーションまでは、まだどこかに古き良き時代の、いにしえの作法を持っていた気がします。

いにしえの作法とは何か？

想像力を駆使する、イマジネーション・オナニーです。動画がなくても本がなくても、脳内で生み出した桃源郷にひたって快楽を得られる、非常にクリエイティブな行為。そう、20世紀の少年達は、誰もがクリエイターでした。20性器少年！（言いたかっただけ）

人間にとって最大の糧となるものの一つは想像力です。想像力が人類をここまで進化させました。刑事責任を問われるレベルのいじめが横行するのは、この想像力が欠如しているのも一因でしょう。その行為が傷害や窃盗だとイメージできないのは、安易にスマホで入手できる動画で抜いてきたからではないですか？

クラスメイトとエロいことをする妄想世界を構築したことのない者に、他人の痛みは決して理解できないのです。

モザイクを使った表現は、そういうイマオナ・ロスト世代にとっても、一石を投じる創作かもしれません。見えているものを否定し、見えていない見たいものを見る行為。想像力だけが超えられる別次元の壁。その向こう側で自己増殖し自己完結することで、他者を傷つけない優しい世界を我々はもう一度築けるのではないでしょうか？

モザイクの持つ可能性、それを活かした創作や撮影について、少しだけ真面目に考えてみようと思い、テキストにしてみました。一気に書いたので後で加筆修正するかもです。