初対面の台湾人の女の子に「あなたはアサブルですね」と言われたことがあります。

言ったのは一緒に食事をした留学生です。ぼくの友達である台湾人の友人で、通訳を兼ねて日本に来た友人たちを案内していました（台湾人の友人は日本語がそこまで流暢ではなく、ぼくとも基本英語で会話してます）開口一番そう言い放った彼女に、なぜアサブルなのか訊いたら「この男と友達という時点でアサブルなのです」と応えられました。

アサブルというのは日本語の朝風呂が訛ったものらしいです。もともと台湾には朝風呂の風習がなく、統治中に日本人が持ち込んだ習慣とのこと。朝から風呂に入るような奴は変わり者、転じて「朝風呂＝変わり者」となったそうです。

大阪では変わり者のことを「ヘンコ」って言います。漢字にすれば「変子」でしょうか？そう思ってオッサンに訊いたら「ヘンコは変わり者でも『変子』でもない」と言われて驚きました。ヘンコは本来、頑固者、偏屈な者という意味らしいです。偏屈で頑固だから偏固らしいのですが、調べた訳ではないので嘘か本当かは知りません。杭全のオッサンが酔っ払って言ってただけですので（笑）

変わり者と言われて嬉しい人って、だいたい面倒な人間です。経験的な感想ですけど。「自他共に認めるややこしい男」とかネットで自己紹介してるオッサンとか。個性的な人間です！とか言っちゃうオッサンとか。ああ、オッサンだらけやな。オッサンだから面倒なのか。個性的でない人間なんていないし、自分で個性的とか言う連中って、十把一絡げな、単に迷惑な奴の場合が多いです。

ぼくは変わり者と呼ばれて嬉しいとは思えません。そりゃ普通じゃないって多少の自覚はあるんですけど「変わり者」の尺度が何なのか曖昧なのが嫌なんですよ。何を基準に人を変わり者呼ばわりしてんだ？って感じで。

でもアサブルって言われるのは嫌じゃないです。「あなたはアサブルですね」と言い切った彼女が美人だったから、だけなく、言葉の響きとして良いなぁと思えるんですよ。言い言葉だと思います、アサブル。ぼくはアサブルです。